【39回目】個人衛生における毛髪対策

行動には根本が必要
多くの食品工場にとって、毛髪混入に関するクレームは最も多く、深刻な問題だと思われる。毛髪混入防止の代表的な対策の一つは粘着ローラーをしっかり掛けることで、吸引やエアシャワーといった対策もある。しかし、その対策をしっかり実行させるためには、「認識」「やる気」「理解」という根本が必要になる。
例えば、手洗いの手順は行動だが、その行動を取らせるに当たり「なぜ手洗いが必要なのか」がしっかりとわかっていなければいいかげんな手順になってしまうのと同じだ。
では、毛髪対策の根本は何だろうか。
毛髪がどれだけ抜けるかを知る
毛髪対策の行動をしっかり取らせるためには、人の毛髪がどれだけ抜けるか(生え替わるか)を知ることが必要だ。日本毛根抜け毛研究会のウェブサイトに詳しいデータがあるが、1日に抜ける本数は人によって大きく違い、数本〜250本以上だという(表・図)。平均すれば、約60本が毎日抜けていることになる。
ということは、工場に8時間居るとしたら「60本×8/24時間=20本」、工場で100人働いていれば「20本×100人=2000本」となり、大変な毛髪が抜け落ちていることになる。
もちろんほとんどは抜けても落ちないで、頭の中に引っ掛かっていたり、帽子でインナーキャップに付着していたり、粘着ローラーで取り除けたものもある。
しかしこれだけの本数が工場内に不安定な状態で存在することは事実だ。そのほんの一部が脱落し、さらにそのほんのわずかなものが食品に混入してしまうことになるのだ。
そこで重要なのは、この事実を全従事者に知ってもらうことだ。これが根本となり、強力な対策になる。つまりは。「こんなに抜け落ちている」と認識することが、粘着ローラー掛けなどの「行動をしっかり取る」ことにつながるのだ。

出社前にシャンプーとブラッシングを
人の毛髪が1日にどれだけ抜けるか分かったら、出社前の行動まで活動(教育)を広げる。毎日出社前にシャンプーをしてもらうのがよいのだが、女性だとなかなか大変だ。そこで「できるだけ頻繁にシャンプーを」という提起にする。男性の場合これは不可能ではないが、できるだけ「毎朝シャンプーも含めたシャワー」をしてから出社するよう要請するとよい。
また、家を出る前にブラッシングすることも重要だ。女性は必ず行うだろうが、男性の場合も、モシャモシャ頭のままでなく必ずブラッシングしてから家を出るようにしてもらう。
これでかなりの毛髪を落としてから工場に入ることになるので、この後、工場に入ってからの行動(前回解説)につなげると、より効果的な対策になる。

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