【43回目】回収手順

顧客別か製品全体かの判断
クレームが来た場合、どのように対処するか、まず手順を決める必要がある。その際に重要なのは、製品1個だけの問題なのか、製品全体に影響しているのかの判断だ。
●製品1個の問題の場合
例えば「ねじが入っていた」「コンタクトレンズが入っていた」などのクレームなら、ねじやコンタクトレンズがあちこちにいくつも混入することはないので、製品1個だけの問題になる。その場合はその顧客だけに対応することになるが、たとえ食べかけで皿の上に載っている状態だとしても、そのまま保管してもらうようにお願いする。出来るだけ発見した状態のままの方が、原因究明に役立つからだ。
非加熱の冷凍ハンバーグを仕入れて解凍し、グリルして盛り付けて提供しているレストランで、「毛髪が入っていた」というクレームがあった。そのまま保管してほしいと依頼しておいて確認しに行ったところ、皿の上に食べかけのハンバーグが載っていて、その下から毛髪が出ている。店長と一緒にハンバーグを持ち上げると、毛髪はハンバーグと皿の間に挟まっている。ハンバーグの表面に毛髪が付いていたのなら、毛髪はグリルしたときに焼けてしまっているはずだ。ということは、皿の上に毛髪が落ち、その上にハンバーグを乗せたことになる。つまり、店での作業時の混入だと分かる。
●製品全体に影響する場合
例えば「プラスチックの破片が入っていた」というクレームなら、製品全体に影響する可能性がある。こうなると回収の可能性が出てくるので、何がどのような状態で入っていたのかを追跡し、工場内で入った可能性があれば回収準備に入らなければならない。これらの一連の手順を決めておき、文書化(マニュアル化)しておくことが必要になる(図)。

ただ、手順を決めてもそれが有効かどうかは分からないため、実際に起こった場合どうなるかを訓練しなければならない。それが回収訓練になる。回収訓練をしていないと、ISO22000の審査では当然不適合になる。
聞き取りシートの準備
顧客からクレームの電話が来た場合、聞き取りに手間取ったり、要領が悪い対応で時間がかかったりすると、顧客が怒ってしまうことがある。そこで慌てると、製品の種類やロット番号を確認するための肝心な情報を聞き忘れたりする。情報が不足していると、対応が大幅に遅れてしまうこともある。そこで、要領よく質問でき、顧客を落ち着かせるような聞き取りシートを用意しておくとよい(表)。
次号では具体的な回収方法や回収訓練に付いて解説する。

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