【53回目】リテールHACCP<3>CCPとモニタリング

リテールでのCCP
リテールにおける管理は、基本的に一般的衛生管理で行う。食品工場のように金属検出機などを導入することはできないため、異物混入や食中毒の事故が起きないように、厨房内の清掃・洗浄を徹底することで安全を確保することになる。
また、工場では同じ製品を連続して製造するが、リテールではメニューが数十もあるため、一つ一つをHACCPで管理することは不可能だ。ただ、加熱調理メニューは、加熱後の中心温度を時々測定することで、工場でのCCP管理に近いことができる。
リテールにおける加熱調理には、フライ、煮物、焼き物(コンベヤオーブン、スチコン、フライパン)、炒め物、蒸し物、炊飯などがある。これらでしようする調理機器一つ一つについて、毎日頻度を決めて加熱後の中心温度を測定してみるのだ(表1)。

フライヤーの管理方法
では、フライヤーでは具体的にどうすればよいか。まず、店のオープン後に最初に注文が入ったフライメニューの調理のとき、中心温度を測定する。例えば最初にとんかつの注文が入ったら、揚げた後に中心温度を測定し、75〜85℃(あるいは90℃)といった温度範囲になっているか確認する。そして、範囲から外れていたら修正する。それまで温度測定そのものをやっていなかったのであれば、その時点で何もしないよりも飛躍的に安全を確認できる。
次に、同じとんかつの注文が入っても測定せず、違うフライメニュー、例えば鶏の唐揚げの注文が来たら測定する。そうすることで、違う食材により別の面から安全を確認できる。
さらに、夕食のピーク初めごろに、例えば白身魚のフライなどの注文が来たら3回目の測定を行う。これで1日3回、違うメニューの測定により安全確認ができ、1ヵ月の記録を1枚のシートにまとめることができる(表2)。これを、他の加熱調理でも行えばよい。
ちなみに、測定用の中心温度計は、センサーの穴が残らないように細いものを使うとよい。

炊飯とコンベヤオーブンの管理
白米の炊飯や炊き込みご飯の場合、適正に炊けていれば正常に加熱がされているということだから、温度測定の必要はない。1回の炊飯が終わった時間を記録する。これは炊飯工場でも同じで、以前は連続炊飯の釜の一つに温度計を入れて測定していたが、最近は炊けていればOKという基準にしている工場が多い。
また、チェーン店では、グリルメニューを小型のコンベヤオーブンで調理するところがある。この場合、例えば「2分半」でグリルメニューが最適に調理できるよう、食材の投入温度と形(厚さ、大きさ)が調整されている。それならコンベヤオーブンが適正に動いていればよい。念のため、最初に入ったオーダー品の中心温度を確認して記録する。それが調理温度とコンベヤスピードの連続監視になる(写真)。

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