【64回目】トレーサビリティシステム<2>自社の仕組みを第三者向けにまとめる

トレーサビリティの確認
トレーサビリティができているかを確かめるために、自社製品のフローチャートを作ってみよう。
下処理を始めるために、先入先出し管理している原材料庫から原材料を取り出すときに、その原材料の外箱に表示してある日付やロット番号を記録すればつながる。下処理したものを多数の製品にしようする場合でも、その日に製造した全ての製品の原材料はこの記録を見れば追跡できる。この後、それぞれの製造工程を経て製品になるが、CCPやOPRPの工程を通るときに記録されているから、製造工程途中のトレースもできているはずだ。製品が製品庫に入り出荷されるときに、それぞれの製品のロット番号と出荷先がつながるようになっていれば、出荷後も追跡できる。この仕組みを原材料サプライヤーと販売先に説明するために、フローチャートを作るのだ(写真1)。

さてこのフローチャートを作り始めると、うまくいかないことが多い。トレース情報がつながっていないからだ。
出荷先とロット番号がつながっていなかった例
ある工場では、製品外箱のロット番号を日付で管理していたが、製造した製品をどこに出荷したか把握していなかった。先入れ先出し管理はしていたが、複数の出荷先に次々に出荷していただけなので、もし出荷先からクレームなり問い合わせがあっても、同じロットをほかにどこに出荷したのかが分からなかったのだ。これではせっかく製品の外箱から原材料までのトレースができても、肝心のロット番号からその出荷先を特定することができない。
そこで、外箱のラベルにバーコードを一緒にプリントするようにシステムを変えた。出荷するときに、外箱のラベルを全てバーコードリーダーで次々と読み込めば、出荷先ごとにどの箱を積み込んだかが記録される。
かつお節のトレーサビリティの例
かつお節の製造工場で、どうしたらトレーサビリティができるのか分からなかった。ところが工場内を視察してみると、蒸煮の製造工程に漁船の名前が書いてある。その後の薫煙の工程でも、スモークハウスに同じように船名が書いてある(写真2)。なぜかというと、これは税務署からの指導なのだ。

購入した船名とカツオの量、工場での蒸煮から薫煙、削り、箱詰めまでの歩留まりを記録して追跡できるようにしておけば、課税の元情報になる。税金をごまかすこともできない。この情報をそのまま使えば、かつお節のトレーサビリティができるのだ(写真3)。

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