【66回目】トレーサビリティシステム<4>多原料・多品種製造工場のトレーサビリティ

原材料の箱を開けるところから製造が始まる
惣菜製造工場などではかなりの種類の製品を製造しており、原材料も多岐・多種類にわたる。このような工場では、「トレーサビリティシステムは、とてもではないができない」と考えている、あるいは諦めているところが多い。しかし、トレーサビリティシステムは製品不良の原因の追跡ができ、それはユーザーの要望でもあり、その構築は信用と営業力強化につながる。
さて、こういった多原料・多品種製造工場の原材料側トレーサビリティ構築は、実は難しくない。製品が百あろうと千あろうと、全ての製造の始まりは原材料をそろえるところからだ。現場では、原材料を受け入れ(写真1)、その箱を開けるところになる。そこで、下処理の担当者が原材料の箱を開けるとき、ノートを1冊用意しておき、開けた箱のアイテムと賞味期限の日付(写真2)、あるいはロットナンバーなどをノートに書き込むようにする。

ノートへの記入方法
某惣菜工場のある朝のオーダーを野菜下処理の表で見てみると、サンドイッチ部門からトマトのスライスを10kg、サラダ部門から野菜サラダ用のトマトの8分の1カットを5kg、盛り付け部門からキャベツの千切り(豚カツ用とフライセット用)を12kg、鍋調理部門から中華炒め用のキャベツのぶつ切りを9kgだった。そこで、次のようにノートに記入してく(写真3)。

①最も早い8時分のトマトスライス10kg向けの箱を開けて、ノートにこの箱の日付と出荷元を「8/1、A農協」と記入。
②10時のキャベツの千切り5kgを取り出し、このロットの「7/31、D農協」をノートに記入。
③13時のトマト8分の1カットは、まだ「8/1、A農協」が残っているので、これを使用することをノートに記入。
④15時は二つあり、7kgのキャベツ千切りは「7/31、D農協」のロットで全て間に合ったが、9kgのキャベツぶつ切りはカットしているうちに「7/31、D農協」のロットがなくなり、次の「8/2、B経済連」を使い始めた。そこでこれについては「7/31、D農協」と「8/2、B経済連」の二つのロットを記入。
このように、下処理担当が取り出した原材料のロットをノートに書くだけで、この日に製造した製品の原材料ロットが分かる。中華炒め用のキャベツぶつ切りについてだけ二つのロットにかかるが、それでもこの日の中華炒めに使ったロットはこのどちらか、あるいは両方の混合ということまで分かる。
ということで、全ての原材料を使い始める場所にノートを1冊置いておくだけで、原材料のトレーサビリティの基礎ができる。これを土台として、本格的なトレーサビリティの構築に進めたらよい。

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