【68回目】手順書の作り方<1>

文書化された記録
ISO22000の2018年版(18年7月発行予定)のドラフト版では、「手順書(文書)」と「記録」が「文書化された記録」へと変わる。例えば、清掃・洗浄手順と実施したチェックリストの原紙が「文書」で、チェックリストに実施と確認の担当者名や時間を記入したものが「記録」になっていたが、これが「文書化された記録」として統合されることになる。
5.2.2「食品安全方針の伝達」のa)では、「文書化した情報として利用可能な状態にされ、維持される」とある。また、7.5「文書化した情報」では、作成、更新、管理について詳細な要求事項が定められている。この文章化した情報の一つに清掃・洗浄手順がある。これは、安全な環境をつくって維持するための根幹になるが、認証のために要求されているからと仕方なく作っているケースも見受けられる。
手順書を作るところから改善は始まる
ある惣菜工場で、HACCP認証を得るための活動を始めたとき、「清掃・洗浄手順の文書をどうするか」との話になった。それまでマニュアルなどはなく、経験と実績に基づいた方法で行ってきたため、「いつもやっていることを、なぜ文書にしなければいけないのか」と担当者は内心不満だったが、同じく要求される検証のところで拭き取り検査をしてみたら、あちこちの製造機器で不合格が続出した。そこで今までの方法では駄目だと気付いて改善活動を始め、手順書を作成した(写真1)。

今までより高確率で有効な時短となる手順を開発する
ある食品工場の担当者が、前述の手順書作成のコンセプトを「セミナーでそんなことを言っていたな」と思い出し、今までの清掃・洗浄方法を反省してみた。それまでは人海戦術で行ってきたが、人によって方法が違い、洗浄結果にむらがあることが分かった。そこで、やはりセミナーで聴いた泡洗浄をテストしてみることにした。
泡洗浄は、まず食品残さやごみを清掃で取り除く。これは皆でやる。その後、泡洗浄機(写真2)を使って作業場の端から泡をかけていく。泡洗浄機1台につき1人でできる(1人でなくてはできない)。端から端まで泡をかけているうちに、最初に泡をかけた所は泡が汚れを浮き出させるための20分以上という時間がすでに経っているから、今度は泡洗浄機をすすぎ散水機に代えて再び端から流していく。これも1人でできる。ということは、中小の食品工場であれば最初のごみ掃除だけ皆でやれば、あとは1台の泡洗浄機で1人でできる。流し終わったら、空調のドライ運転のタイマーをセットして終わりだ。
この方法でいくつかの手順を試したところ、効率が良く、効果があり、人員は少なく、時間は短く、拭き取り検査の結果も安定して最良になる手順が見つかった。ここまで来たら、あとは「どのように文書にするか」だ。この担当者は、そこで動画に思い至った。

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