【71回目】ISO22002のハード面の要求事項に対応できない場合<1>水たまり

ハード面での「〜ねばならない」
FSSC22000の認証が増えているが、これを目指す場合、ISO/TS22002-1に対応しなければならない。このISO/TS22002-1には、ハード面(施設・設備面)での要求事項がかなりあり、邦訳では「〜ねばならない」と記述されている。
例えば5.3「内部構造及び備品」に、「床は、水たまりを避けるように設計されなければならない」とある。これに対して、水たまりが全くない工場は少ないのが実情だろう。既存の工場で、洗浄後に水たまりができてしまう箇所は結構あるものだ(写真1)。

では、水たまりがあるとFSSC22000の認証は取得できないのだろうか。しゃくし定規に捉えたら、FSSC22000の認証取得は多くの工場で不可能になってしまうだろう。
水たまりにソフトで対応する方法
では、どすればよいかというと、ソフト面で対策を講じることになる。
まず、工場内で水たまりができてしまう箇所をリストアップする。そして、水たまりを現在どうしているか見てみる。水たまりを放置していた場合、虫やカビ、細菌などの増殖源になるため、この状況は食品安全を脅かしており、改善しなければならない。そこで、洗浄後に水たまりができてしまう箇所は、ワイパーで水切りして排水し、除湿して乾燥させるようにする(写真2)。

この手順を水たまりができる全ての箇所の洗浄手順にし、文書(洗浄マニュアル)化する(写真3)。

次に、この手順通りにできる従業員を登録する。例えば3人いるなら、3人の名前を「力量」者として登録する(写真4)。

そして、洗浄後に作業者を記録し、(名前かイニシャル、時間)作業者以外の確認者が確認の記録(名前、時間)をする(写真5)。

これができると、水たまりができる箇所、その場所の洗浄手順、実施の記録の3項目がそろうので、審査に入る前に、これを審査機関の営業あるいは窓口の方を通じて見てもらう。具体的には、工場図面に水たまりができる箇所を示し、手順書と、少なくとも3ヵ月以上の記録のコピーを提出する。そうすることで、ハード面では対応できていなくても、ソフト面で対応していることが分かるので、審査で問題が出ないかを審査前に確認できる。
もちろん、ハード面で対応できるのであればそれでいいが、費用面も含めてできない場合はこのようにする。水たまりについては、今までいくつもの工場で対応しており、認証を得られなかったところはない。

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