【78回目】HACCP制度化における飲食店の不安とその解消<2>

飲食店におけるHACCP管理

前回、飲食店におけるHACCP管理例の図中①について説明した。今回は②以降を順に説明していく。
②出来るだけ泡洗浄後、除湿
家庭の台所でも洗剤を使うが、大量の飲食物を提供する飲食店の厨房ではさらに積極的に洗剤を使わなければならない。食器や調理機器だけでなく床も洗剤で洗えば、洗剤がグリストラップに流れていくので虫やネズミ対策になり、カビや細菌の増殖も抑えられる。
洗浄した後は乾燥が必要だ。空調のドライ運転や除湿機を使って、2〜3時間ほどタイマー運転をセットして帰ると湿度がぐっと下がり、細菌、カビ、虫の増殖を抑えることができる。
③④重要清浄区域を特に念入りに
刺し身やカルパッチョといった生ものや、サラダやデザートといった非加熱メニューを扱う場所は、加熱メニューの調理とは別にする。ここは加熱殺菌ができないので、特にきれいにしなければならない。
ここでは泡洗浄が必須で、可能であればさらに殺菌した上で乾燥させる。殺菌はコストがあまりかからず簡単な逆性せっけん液を使うとよい。200倍に希釈して吹き付けたり、仕上げ拭きをする。
また、できた料理を一時保管しておく場合は、10℃以下の冷蔵庫へ入れる。
⑤加熱メニュー
調理後の中心温度が75℃以上になっているか、時々確かめる。中心温度計は家庭用の1000円程度のもので十分に間に合う。
フライヤーでの揚げ物は、油の温度が何℃のとき、例えば「トンカツ1枚の場合は何秒、2枚・3枚では何秒」というように、安定した中心温度になる時間を表にしておけば、毎回中心温度測定をしなくてもよい。ここは簡易CCPとなる。
⑥トッピングの安全管理
ラーメンにのせるチャーシューやシナチクといった、できた料理に後からトッピングする食材を提供直前の場所に置いておく場合、大量に積み重ねておくと細菌が増殖するので、少なめに、できれば氷を敷いた上にラップフィルムを載せ、その上に置いておくとよい。
⑦⑧⑨顧客が持ち込むノロウイルス対策
細菌に詳しい学者や講師の方たちの話を聴くと、ノロウイルスを持っているのに体調に問題がなく本人が気付かない健康保菌者が、最近では30%にも上るという。また、フードサービスでは客がノロウイルスを持ってくることになる。
そこで、ホールから食器類を厨房に戻すとき、提供する料理と交差しないようにする。戻す場所を決めたり、簡単に仕切ったりして、ピーク時でも混乱しないようにしておく。
あった方がよい道具の一つに、その場で汚染状態が分かり、最も安く拭き取り検査ができる試薬付きスワブ(綿棒)がある。対象面を拭いて色が変わったら汚染されているので、すぐに再洗浄し、洗浄方法の改善につなげられる。

お電話でのお問い合わせはこちらから

06-6657-5365

受付時間:平日9:00〜18:00
(土、日、祝日は休業)