【51回目】リテールHACCP<1>サンフランシスコのグレードシステム

全てのレストランの店頭に衛生度合いを表示
米国・カリフォルニア州では、2000年1月1日より全州で食品衛生管理資格者制度(食品営業施設のHACCPシステム)がスタートした(監修いただいている加藤光夫先生はこの資格を06年10月に取得)。また、05年にはサンフランシスコ市がグレードシステム制度「74の検査項目」を採用。全てのレストランに、衛生の度合いを点数化した表示を、利用者がよく見える店頭に掲示することを義務付けている。具体的には、まず74項目で100点満点の監査を行う。70点以下は営業停止もあり得る。そして、監査結果シートと点数を店頭に表示するというものだ(写真1〜3)。
監査内容
74項目はソフト面、ハード面、管理面など立体的に分類されており、例えば「食品の温度」「食品」「有害小動物・害虫」「水・消毒」「下水」「営業・運営」「什器、機器、棚、キャビネット」「嘘のない表示」「壁・天井・床」「配管設備・機器排水」「便器・トイレ・更衣室」「廃物・店・雑役」などのパートに別れている。
このプログラムの全容は、このシステムを日本語で教えられる資格を持った安田健彦氏が「HACCPで安全な食品衛生管理-米国食品衛生管理資格者の手引き書」(光琳、2006年、現在在庫切れ)で書いている。その中から、いくつかの項目と違反参考例を抜粋して挙げてみる(監査番号、内容→違反参考例)。
6. 食品の安全が脅かされ緊急を要する状態→何種類もの違う種類の貝類が雑然と一緒の容器に入っている。生の食品と調理済み食品との食品間汚染が起きるような作業をしている。
21. 間違った方法で行われた解答違反→冷凍食品が溜め水で解凍されている。
22. 許可されていない作業場での食品料理のリスク→手洗い用シンクに飛沫よけがない。
23. 食品保存→食品が床から6インチ(約15cm)以上の高さに保管されていない。
25. 食品がお客から保護されていない違反→スニーズガード(咳やくしゃみ等から食品を保護するカバー)なしで食品がディスプレイ、提供されている。
31. 什器、機器、棚、キャビネット等の不衛生→残さや汚れがこびり付いている。
32. 食品が接触する表面の什器類の消毒→食品が触れる表面が4時間ごとに洗浄消毒されていない。
36. 不正確に表示された広告食品→新鮮な魚と広告されているが実は冷凍魚。
52. 貯蔵庫での保管→ナイフが無造作に機器の間、箱の下、棚の上等で保管されている。
55. 消毒に関する違反→再使用する食器を洗うときに、3槽シンクのうちの二つだけしか使用されていない。
57. 内装違反→厨房内の床に段ボールや認可されていないビニール、板が敷かれている。
68. 一般的な換気扇→グリルが完全に換気フードの下に設置されていない。6インチの張り出しがない。
72. 雑役・必要な品物・機器→モップ用バケツ、モップ、ほうき等が、不適切な場所に置かれている。破損している、清潔にされていない。
なお、監査の際には科学的検査も行われている。例えば、すしの酢飯では「pH4.6以下(強)」という規制があり、現場での簡易検査が行われる。

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