【52回目】リテールHACCP<2>監査と衛生管理

監査の対象と仕組み
飲食店での食中毒は非常に多いので、最近はフードサービスのチェーン店に関心が集まっており、HACCPの必要性が高くなってきている。リテールではアイテム(メニュー)が多いので、HACCPなどできないと考えがちだ。しかし、特にチェーン店ではたった1店舗の事故が、報道によりチェーン全体の営業に影響してしまうため、何もしないというわけにはいかないだろう。
米国では、リテールHACCP(食品安全プログラム)の監査は予告なく行われ、監査結果はインターネットで公開される。対象はレストラン、バー、市場、ベーカリー、カートでの販売、スタジアム食品施設など(サンフランシスコ公衆衛生省サイト:https://www.sfdph.org/dph/EH/Food/default.asp参照)。
この食品安全プログラムは、許可が取り消しになることがある(表)。数年前、ニューヨークでレストランを経営しているシェフに聞いたら、失格点になってしまうとかなり高額の罰金が科せられるという。イタリアでも同じように罰金がある。

監査組織と点数の公開
日本の保健所の忙しさを考えると、「米国ではそんなに多くの店を本当に保健所が監査できるのか」と思ってしまうが、これは保健所の下に監査組織があるので実施できるのだ。カナダのバンクーバーでも同じような組織になっているという。
当ブログの監修を行ってくださっている加藤先生は15年ほど前、サンフランシスコにある和食の考え方を取り入れた有名なレストラン「Masa’s kitchen」に行くことになり、事前に保健所サイトで検索したら80点台だった。ディナーで美味しさを堪能したが、点数があまり良くなかった理由は、たたきや半生(つまり最もおいしい加熱)状態でのフライものなど、中途半端な加熱調理が多いからだろうと思われる。また、別の日に地元のステーキハウスを調べたら100点で、行ってみたら確かに素晴らしい店だったとのことである。
衛生管理しやすい厨房
厨房をきれいに保つには、衛生管理のしやすい工夫が必要になる。清掃・洗浄しやすければ汚れにくくなり、効率よく清掃洗浄できるからだ。
フランスのリヨンで見掛けた厨房では、写真1のように清掃・洗浄しやすくなっていた。また、スペインのバルセロナで見掛けたオーガニックスーパー内の食肉売り場では、対面陳列ケースにスニーズガード(顧客のせきやくしゃみなどから食品を保護するカバー)が付いており、店員側も清掃・洗浄しやすい構造で、整理整頓されていた(写真2)。

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