【55回目】リテールHACCP<5>改善事例

料理提供と下膳の交差汚染
あるレストランでは、一般的衛生管理に対応するため製造動線も含めて改善を行なった。改善前の厨房(図1)を確認すると12の問題点(表)があった。

この中で重要なポイントは4〜8で、図1の右側部分に集中している。ここに交差汚染と異物混入の原因となる大きな問題がある。
図の右の「下膳、提供」はカウンターになっていて、厨房で作った料理をここに置き、ウエートレスがホール(客席)に持っていく。ただ、ここにはホールで食べ終えた(汚れた)食器も下がってくるため、提供する料理と下膳が混乱し、食べ残しやようじといった下膳のごみが料理に入ってしまう事故が時々起こっていた。また、このカウンターのすぐ内側の少し下位置にカレーと麺類の調理(盛り付け)場所があり、下膳のごみが盛り付け場所に落下して料理に入ってしまうこともあった。そこで、このカウンターを「出す料理を置く場所」と「下膳を受ける場所」にきちんと分ける必要がある。
もう一つ、この横にある「野菜カット台」でカットする野菜は厨房の左の方、調理する場所で使う野菜であり、図の最も左にある冷蔵庫から持ってきて、カットしたらまた戻さなければならず、作業効率が悪い上に交差汚染の問題もあり、改善の必要があった。
移動と仕切り板で改善製造動線も整備

図2は改善後の図面である。まず、野菜カット台をフライヤーの隅、つまり調理が始まる場所に移動した。これで「下膳、提供」のカウンター回りがすっきりしたので、出す料理を置く場所と下膳を受ける場所を仕切り板で分け、提供と下膳を分離して一方通行にできた。これにより、下膳のごみがカレーや麺類に入る危険がなくなった。
また、厨房に入る手前に手洗い場と粘着ローラーを設置したほか、清掃しやすい工夫、原材料の置き場所をゾーニング、床へのじか置きを禁止といった改善を行なった。また、費用がかかり過ぎるので実施しなかったが、「食器ストック」を全ての調理機器と洗浄との間に移せば、動線は完璧になる。

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