【57回目】ロジスティクスのHACCP<1>荷物の損害

輸送と保管の安全管理
ロジスティクスとは、実務的にいえば「輸送と倉庫保管における安全管理のチェーン」となる。ISO/TS22002-1でこれに関係する項目は、以下の通り多岐にわたる。
5.7 食品、包装資材、材料及び非食用化学物質の保管
9.3 受入れ材料の要求事項(原料/材料/包装資材)
14.2 保管、認識及びトレーサビリティ
16.3 車両、輸送車及びコンテナ
倉庫保管でのダメージ例
豆乳製品を全国に出荷している工場で、時々「外箱が変形している」というクレームが複数の異なる顧客からあった。分析してみると同じ方向に出荷している中から出ている。また、変形の状況を見ると全て底部分で、これは全国への発送を委託している物流会社の倉庫において、湿気がある、もしくは水がにじみ出ているような場所にじか置きされた箱が、水を吸って変形したものと推定できた(写真)。

そこで、クレームがあった全ての顧客の物流の拠点を調べたところ1カ所に定まったので、その委託物流会社に調査に行くことを伝えたが、遠方ということもあり、なかなかいけないまま何ヶ月かたってしまった。しかし、その後この問題は起こらない。その物流会社が独自に調査し、推定通りの問題があることが分かったので、改善したということだった。調査に行かずに、推定のメッセージだけで改善した例だ。
ペットボトルの輸送中の熱害
あるセミナーで出してもらったペットボトルの水が何か変だなと感じてよく見たら、ボトルの上半分が傾くようにひしゃげている。そのような状態を見るのは初めてだったので調査したところ、これは「熱害」と呼ばれているもので、ヨーロッパから船で輸入される飲料は熱帯地域を長期間通るので、コンテナ内がかなりの高温になってこういう状態になるのだという。これは一般的にあまり知られていないが、よくある問題だという。
リーファーコンテナの温度監視
リーファーコンテナ(内部を一定温度に保つ設備のあるコンテナ)には温度データロガーを入れるとよい。しかし、日本の顧客からの要求はいまだあまりないという。
「輸送貨物の事故情報に関するデータベース」(2012年、(一社)日本海事検定協会)を見てみると最初の事例の二つは「破損・曲損・凹損・変形」で、損害形態の4番目、率にして11.2%になる(図)。

一番多いのは「凍結・解凍」で37.9%にもなる。コンテナの温度監視は重要で、損害があった場合の保険金請求の照明にもなる。
この資料は輸入に関するものだが、国内のロジスティクスにおいて管理体制は輸入よりも低レベルなので、発生率は輸入よりも高くなると思われる。

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