【58回目】ロジスティクスのHACCP<2>情報をつなげる

トレーサビリティとロジスティクス情報
ロジスティクスは、生産から消費者までの情報をつなげる役割を担う。消費者や製品を提供する販売店舗、フードワービスといったところからクレームを受けた場合、問題を追跡するためにトレーサビリティがあるが、製品の信用度の確認や安心の提供も行える。
また、農場や養殖場の情報は、収穫・採取した原料をこれらから購入する原材料・素材製造工場が、安全確認や生産国・場所などの偽装を発見するための道具にもなる。その後、原材料共有工場へのロジスティクス情報は、加工食品工場でも必要になる。
そして、加工食品工場からユーザーへのロジスティクス情報も同様だ。倉庫保管での温度管理、入出庫と配送での時間と温度、ロットなど、ロジスティクス中での全ての情報管理になる。製品とロットごとにロジスティクス情報が分かり、それを入出荷する全ての段階の企業がたどれるようにできれば、どの段階で問題が起こったかの追跡もより精度が高くなる。
情報をつなぎ安全なフードチェーンを確立
フードチェーンの上流から下流への全ての情報はいまだ別々の情報として記録・保管されているが、これらがつながると、問題解決までの時間が短縮され、安心と信用が増すことになる(図1)。

例えば、フードサービスが購入しているハンバーグがあるとすると、
・製造しているメーカーからの配送記録
・メーカーでの製造記録
・原材料の供給サプライヤーからの配送記録
・サプライヤーでの製造記録
・と畜場や副材料の記録
・農場からの飼料の記録

といった形でつながれば、このフードチェーンの全ての段階で安全な製品が流れる長いルートがつながる。ということは、安全な食品を扱う大きなグループができることになる。
農場では、専用のウェブページをクリックしてたどることで、最終の販売店舗までどのようにしてつながっていっているのかを知ることができる。また、ハンバーグ加工メーカーでは、上流側の農場も、下流側の出荷後の販売店も知ることができる。
工場あるいは物流倉庫を出た配送車のコンテナ内の温度だけでなく、今どこを走っているのかのリアルタイム情報を、関連企業や店舗が見られるシステムはすでに動いている(図2)。

昔はメーカーから卸問屋に納入したら、後はどこに卸されているのか明らかにされず、自分が製造した製品がどこで売られているのかが分からなかった。いまだにこの慣習は一部には残っているが、信用と安全が当たり前になりつつある時代の流れの中でそれはなくなってきた。現在、それぞれの段階内での情報はあるし、HACCPを実施している工場ではしっかりした記録までそろっている。そして、これらをつなげるロジスティクス情報があれば全てがつながる。
IoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)、ビッグデータが事業に大きな活力を与えだしている中、フードチェーンの各段階工場でのHACCPとロジスティクスをトータルに情報でつなげることは、ビジネスでの大きな力にもなる。

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