【59回目】力量の仕組みを作る<1>

力量は安全確保の鍵
ISO22000の6.2.2は「力量、認識及び教育・訓練」で、これをどのような仕組みにするかが運営のキーポイントになる。
教育の基本は、プログラムを作り、その中に頻度を組み入れ、実施、その記録を取る、ということになる。しかしながら、それが安全確保のための仕組みになっていなければ、ただ単にISO22000に対応しているにすぎない。安全確保を構築・維持できるかは、力量の仕組みがいかにできているかによる。
最初に登録する力量
力量項目、つまり仕事の内容は多数ある。製造装置でも機械ごとにあり、惣菜工場ならフライヤー、グリラー、スチーマー、蒸煮鍋のそれぞれに動かし方と洗浄、メンテナンスがある。他にもフォークリフトの運転、拭き取り検査、細菌検査など、どれも一つずつの力量になる。
最終的には全ての力量を登録することになるが、最初にCCPとOPRPに関する作業について始める。この工程は当たり前だが重要なポイントなので、ここから始め、徐々に広げていけばよい。
数値化と最初の評価
登録は「○」「×」「△」でもよいが、数値化することで、後ほど解説する力量の合計数値を活用することができるようになる。表を例に解説していくが、この例では次の3段階にしている。
3: ベテラン、教育ができる
2: 指示されなくても1人で仕事ができる
1: 指示されればできる
今まで力量の評価をしていなかった場合、管理者をリーダーにして、個人の力量を決める。決めるときは本人が納得するようにする。そのため、「あなたの力量について最初はこうしたいが、いいですか?」と聞きながら決めていく。
不良品を出さない作業チームをつくる仕組み
表ができたら、まずは安全に製造できるチームを作る。チームとは、例えば表でいえばフライヤー調理の仕事を行う複数の人員になる。このとき、「力量3が1人、2が1人」いないと作業できないルールにするのだ。
実際の現場では、ベテランが1人とそれに次ぐ人が1人はいるようになっているはずだが、仕事が偏っていたり、休みなどで無理をして作業していると、経験不足の人ばかりになって、不良品が出る危険が高くなっていることもある。そこで、このルールにすると、応じた人員体制を確保できることになる。
力量の合計を活用する
個人の力量を合計してみる。表の例では横の行を足すと合計が出る。Aさんの個人の力量合計は20、Bさんは3だ。このように、人によって大きな差が出る。長年仕事をしてきたベテランもいれば新人もいるし、パート・アルバイトが多い工場では人は常に入れ替わる。
そこで、この力量の合計数値を、パート・アルバイトの場合などは時給に反映させると、やる気につながる。それは、そのまま工場全体の安全と製造の効率化につながっていく。なぜそうなるか、またこの仕組みの発展については次号で述べる。

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