【60回目】力量の仕組みを作る<2>

仕事力量の合計
前号では、力量の評価を数値化し、それを力量表にした例を紹介した。今回もこの表で解説する。
この力量表では、行を足すと個人個人の力量になるが、縦の列を足すと仕事ごとの力量の合計になる。例にした表では、たまたま仕事力量の合計12〜15と安定しているが、偏っていると安定した運営になりにくくなる。特に製造作業の数値は重要だ。
例えば、冷却包装作業の仕事力量の合計が3〜5程度の場合、最も重要な製品を安全に包装する工程の作業が不安定になる。この仕事ができる人員が不足しているからだ。その場合、この仕事ができる人員を育てる、あるいはすでにレベル1か2を持っている人の力量を上げるように持っていけばよい。
力量は製造と検証に分ける
仕事を分類する際に混乱することがあるが、それは製造作業と検証監査を一緒にするのが原因だ。この表で分かる通り、この二つの仕事群を分ければ明快になる。
検証監査の仕事ができる人は、パート・アルバイトではあまりおらず、管理者あるいはリーダー格になるだろう。従って、検証監査の仕事力量の合計は製造作業の仕事力量の合計よりも少なく工場が多いかもしれない。
個人が目標を持ち力量を引き上げ幅を広げる
個人個人の力量は、仕事については現場で経験を積むことで上がっていく。また、いつもの仕事が調理であっても、応援や作業の移動などで他の仕事、例えば包装に行く機会も出てくるだろう。そうすると、調理の力量が2、包装の力量が1となるかもしれない。このように、個人の力量の総計は一つの仕事の中で次第に上がり、他の仕事もできるようになり、つまりは幅も広がる。
個人の力量を引き上げる、あるいは幅を広げるためには、個人が目標を持ち、それを達成するための教育訓練プログラムの仕組みを作るとよい。訓練の時間を設けてもよいが、OJT(現場での訓練)なら仕事をしながら力量を引き上げることができる。
評価の基準と改定の頻度
力量は、最初は状況を見た上で決めるが、その後はどのような基準で引き上げるかを決める。例えば、自己申告した上で、その仕事のリーダーが認める、あるいはリーダーと管理者のペアで決める、といった形である。
そしてもう一つ決めておきたいのは頻度だ。「毎年1回3月に行う」といった具合になる。
力量の仕組みを作ることは、安全確保とコストダウンの両方を得ることにつながる。

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