【61回目】手洗いの設備と使い方

爪ブラシは一つでよいのか
他人の使ったタオル、くし、ブラシなどを使うのは不快だが、食品工場の手洗いで使う爪ブラシについてもそう感じている人は多い。それまで一つを共用していても、ある日「爪ブラシの共用は不快」という意見が出た途端、そういえばそうだとなり、一気に使わなくなってしまった工場の話もよく聞く。
そこで、爪ブラシを1人一つにする工場が増えてきている。こうすると、自分専用なので愛着を持って積極的に爪ブラシを使うようになる。安全になるということだ。ある工場では人数分の爪ブラシを用意して、名前をブラシに書き込み、個別のホルダーにセットしている(写真1)。
爪ブラシの洗浄
爪ブラシを使った後、「次亜塩素酸ナトリウム液に漬けた方がよいのか」「乾燥させるのにどうしたらよいか」など、ブラシそのものの扱いについての質問をよく受ける。
次亜塩素酸ナトリウムを使うとすると、液の濃度の管理や、手荒れにつながるといった心配がある。しかし考えてみれば、爪ブラシを使っているときは爪ブラシそのものも一緒に手洗い洗剤で洗っているのだから、洗浄はそれでよいのだ。そして、ブラシ側を手前にして乾燥しやすく置いておけばよい。
ペーパータオルかハンドドライヤーか
「ジェット式ハンドドライヤーの壁面を調べると、細菌やウイルスで汚染されている。その壁面に付着している菌などが跳ね返って、洗ったばかりの手を汚染をしているのではないか?」という議論が以前からくすぶっていた。これについて、10年以上前に東京都が非公開で行ったテスト「手挿入部内の水滴の跳ね返り検証」では、心配の通りになった。東京都の食品安全情報サイトにも同様の情報が掲載されており、参考になる。
ペーパータオルは汚染を拡散させることなく単純に管理できるが、資源を使う。ハンドドライヤーは資源不要でごみも出ないが、特に上からの差し込み型は水滴汚染の心配がある。そこで、次のような使い方をお勧めしたい。
①手をよく洗う→当たり前だが、いいかげんに洗うと細菌やウイルスは残る。
②ペーパータオルを1枚だけ使って丁寧に水滴を拭き取る→水滴を出さないため。1枚で拭き取ろうとするとペーパーは小さく丸くなるので、ごみ容積が小さくなる。省資源にもなる。
③ハンドドライヤーで仕上げの乾燥→水滴は出ない。完全に乾燥できる。
④ドライヤーの壁面を頻繁に塩素系消毒剤で殺菌する→ノロウイルス対応。
ハンドドライヤーは、シンク吹き落とし型なら水滴がシンク内に落ちる(写真2)。殺菌機能付きのものもある。この場合でも、時間をかけて完全に乾燥させることが重要だ。

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