【73回目】ISO/TS22002-1のハード面の要求事項に対応できない場合<3>天井と頭上の設備のほこり

ほこりを工夫で防ぐ
ISO/TS22002-1の5.3「内部構造及び備品」には、「天井と頭上の設備は、埃及び結露の蓄積を最小にするように設置されなければならない」とある。このほこりを防ぐための改修には、天井が高い場合かなりの費用がかかる。そこで、改修ではなく低費用の工夫を行って対応した例をいくつか見てみる。
高所のパイプはCIPブラシで清掃
高所にあるパイプのほこりには「CIPブラシ」を使う。これには二つの形がある(写真1)。

一つはU字形のブラシで、これを棒につなげて高所にあるパイプの上にたまったほこりを清掃する(写真2)。

かなり高い所でも簡単に清掃できる。もう一つは渦巻きのように巻いてあるブラシで、これをパイプに平行に押し込んでから90度ひねるとパイプに巻き付いた形になり、その状態で横にずらしていけばパイプを丸ごと清掃できる(写真3)。

パイプの取り替え
ある豆腐工場で、大型の浸漬槽の上と周囲を蛇腹のパイプが幾本も走っていた(写真4)。

倉庫からの大豆をパイプ搬送しているのだ。蛇腹なのでくぼんだ部分にほこりとカビが付着していて、汚れが剥がれ落ちる。かなり高所だし、パイプの下に大豆を水に漬ける槽があるため清掃は難しい。
そこで、汚れが付きにくいステンレスパイプに取り換えた(写真5・6)。ステンレスにしにくい部分(接続部など短い一部)だけ新しい蛇腹パイプにして、取り外して簡単に清掃できるようにした。その上で、カビ対策として空調と扇風機による低湿対策を取れば、かなり良好になる。

ほこり落下対応カバー
清潔エリアである包装室で、天井からカビやごみが落下しているか落下塵検査をしてみたら、たっぷりと落ちていることが分かった(写真7)。

そこで、まずは高所天井対応清掃道具で掃除した後、波板でカバーすることにした。波板は畳ほどの大きさで、そのサイズに合わせてアングルを組み、波板をそのまま置いた。時々外して洗えるようにするため、置くだけで取り付けない(写真8)。

その後、落下塵検査をしながら検証したところ、天井の清掃は半年ごと、波板を外して洗浄するのは2週間ごとが適当なことが分かった。
いずれの対応も、天井のほこりが問題の場所、その対処方法と手順書、頻度を決めた実施と記録、必要であれば検証と記録が必要だ。

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