【77回目】HACCP制度化における飲食店の不安とその解消<1>

飲食店の不安
飲食店では以下のような疑問を持っているところが多い。
・HACCPは飲食店でもやらなければならないのか?
・小規模飲食店でも導入できるか?
・どんな準備が必要?
・コストがどれほどかかるのか?
これに対して、「工場でのHACCPを、ある程度簡易化して飲食店に応用してみよう」という解説をしても、飲食店の側からすると「そんなことができるのか?」「カネがかかりそうだ」といった反応になってしまう。これは、「難しく解説してしまう」、あるいは「難しく受け取ってしまう」ところから来る不安のようだ。
誰でもできるHACCP導入
もちろん、飲食店でもHACCPは必須になる。欧米に比べて日本は15〜20年、HACCPの制度化(義務化)が遅れているのだ。
なぜ飲食店までHACCPが必須なのかは、そもそも食中毒の発生は飲食店が圧倒的に多いからだ。また、なぜ必要かは、自動車運転免許で考えてみれば分かる。当たり前だが、歩行者に運転免許は要らない。これは家庭内での調理飲食と同じだ。しかし、自動車を運転するには運転免許が必要となる。なぜなら、運転の仕方も交通法規も知らないで運転したら事故だらけになるからだ。飲食店での営業はこれと同じで、不特定多数の客に料理を提供するには、当たり前のことだが、安全でなければならないのである。
さて、運転免許は勉強と訓練をすれば誰でも取得できる。同じように、飲食店でのHACCPも誰でもできる。できるものでないと制度化されない。よって、飲食店でのHACCPは、難しくてはいけないし、難しく教えてはいけない。誰でもでき、コストもかからずに、食の安全管理ができるものでなければならない。
飲食店におけるHACCP管理

図は飲食店におけるHACCP管理の例である。基本的に飲食店でCCPはなく、一般衛生管理で行う。図の①から順に説明する。
①更衣室から作業に入る場所に粘着ローラーと手洗い
飲食店での毛髪混入問題は多いので、厨房に入る前に粘着ローラーを掛ける。ローラーを掛けるときに柄を握るので、その後に手洗いをする。手洗いは猛威を振るうノロウイルス対策における重要なポイントなので、爪ブラシを設置するとよい。
この場所に、もし可能であれば、低コストで簡単な記録が取れる監視カメラがあるとよい(もちろんなくてもよい)。特にチェーンレストランではセキュリティーのためにもあるとよい。カメラが設置されていると、ローラー掛けと手洗いをきちんとやるようになる。
次回は②以降について解説する。

お電話でのお問い合わせはこちらから

06-6657-5365

受付時間:平日9:00〜18:00
(土、日、祝日は休業)