【49回目】HACCP義務化<2>HACCP導入型基準への対応

まずは自治体の情報を確認する
全ての食品工場は、古くからある従来型基準で営業許可を得ている。これに「選択制」が加わり、HACCP導入型基準にできるようになった。このガイドラインは「食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針(ガイドライン)」で検索すると、作成元である厚生労働省の文書がPDFで閲覧できる。
HACCP導入型基準は自治体ごとに対応しているので、まずは工場のある自治体の対応をウェブサイトで検索してみる。埼玉県なら「埼玉県 HACCP導入型基準」、山形県なら「山形県 HACCP導入型基準」で出てくる。自治体名で出てこない場合は、未対応、もしくはウェブサイトで広報していないということなので、保健所に直接聞いてみる。「9割の自治体が対応」との報道があったが、実際にはそこまで進んでいないようだ。
埼玉県のサイトでは、「HACCP導入型基準を選択する施設の届出」の中に「HACCP自主点検チェックリスト」(表)が掲載されている。これに加え、厚労省のサイトにある各製造品の事例資料を入手すれば、具体的な構築方法が分かる。もちろん、構築には設備投資などの費用はかからない(中心あるいは表面温度計などの測定器は必要)。いまだに対応していない自治体でも、この資料を基に構築しておけば、自治体の方もそのうち対応してくるだろう。そしてこれが義務化への対応にそのままつながる。
山形県のサイトでは、域内のHACCP導入型基準施設のリストを「HACCP申出状況」としてすでに掲載し始めている。このリストに載ることで、HACCPの導入公的に広報できることになる(こういったものがなくても、保健所に認定されれば広報できる)。
また、すでに多数行われている自治体HACCPと、HACCP導入型基準の関係もきになるところである。例えば鳥取県では、「鳥取県HACCP適合施設認定制度」の認定を受ければHACCP導入型基準に対応となる。東京都や北海道などのように認証に段階がある自治体では、どの段階でHACCP導入型基準になるのかを聞いてみることだ。

営業力にもつながる
安全な製品の製造の最初のステップは、安全な原材料の使用だ。同様に、自社製品を購入してくれている顧客も製品が安全に製造されているかどうかを見ている。小売りやフードサービスの購買では、一般的衛生管理とHACCPの導入は選定基準になり、当然導入している工場を優先することになる。HACCPの構築は営業力に直接つながるのだ。
さて日本の義務化の方だが、対象食品は2016年末までに決まるという。欧米の歴史から考えると、危害の可能性の高い食品と魚介類はまず対象になる。工場規模と段階については、17年(4〜12月予定)に検討会議が行われるとのこと。海外各国では企業規模によって義務化が段階的に進められ、業界が対応してきた歴史があり、それを知ることが日本の17年度以降の動向を予想することにつながるだろう。それについては次回は解説する。

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